Motion 5 - 「キーヤー」フィルタの使いかた

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「キーヤー」フィルタの使いかた

「キーイング」フィルタの基本的な使いかたは簡単です。以下に、例を使って説
明します。

キーを作成するには

1

プロジェクトに、背景のイメージを読み込みます。

この例では、オレンジ色の夕焼け空が写った高解像度の静止画像を使用します。

2

グリーンスクリーンまたはブルースクリーンの前で被写体を撮影した、前景のイ
メージまたはビデオクリップを読み込みます。

この例では、グリーンスクリーンの前で演技する役者のビデオ素材を使用しま
す。「レイヤー」リストで前景(役者とグリーンスクリーン)レイヤーが背景レ
イヤーの上にあることを確認します。

3

キャンバスを見ながら、グリーンスクリーンが写ったフレームまで再生ヘッドを
動かして、前景レイヤーに「キーイング」フィルタを適用します。

「キーイング」フィルタによってフレームが解析され、イメージの主要色(青ま
たは緑)に基づいて、取り除く色が推測されます。最適な結果を得るには、キー
となる色が最も多く表示されるフレームにフィルタを適用します。

自動推測が正しくない場合は(赤をキーにしたい場合など)、「フィルタ」イン
スペクタの「強度」パラメータを 0 にしてカラーサンプリングを無効にし、「サ
ンプルカラー」ツールを使って、キャンバスでキーにしたい色を選択ボックスで
囲みます。(この作業は次の手順で説明します。)

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キーイング

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「フィルタ」インスペクタの「表示」コントロールが「コンポジット」に設定さ
れている場合は、背景レイヤーが透けて見えます。

メモ: 「キーイング」フィルタを追加するクリップがキャンバスに表示されてい
ない場合は、被写体が写っている最初のフレームまたは最後のフレームのうち再
生ヘッドが近くにある方のフレームに基づいて初期のキーが抽出されます。

4

自動キーが強すぎて、キーイングした被写体の中で残したいぼやけた細部がキー
アウトされる場合は、「強度」スライダを左にドラッグして、キーのエッジの細
部が十分に見えるまでマットの許容度(コア透明度)を下げます。

これによって、髪の毛、煙、反射などの半透明領域が透けて見えるようになりま
す。一般的に、ぼやけた細部を残すように微調整するときは、「マットツール」
グループ内のパラメータを使って、キーの強度を下げすぎるくらいの方が良い結
果が得られます。

Strength set to 100%

Strength set to 35%

ヒント: 「カラー選択」コントロールを展開した状態で「強度」スライダを調整
すると、「クロマ」パラメータと「ルミナンス」パラメータの変化を見ることが
できます。

必要に応じて、「フィルタ」インスペクタまたは HUD の「サンプルカラー」ツー
ルと「エッジ」ツールを使って、デフォルトのカラーサンプリングを微調整でき
ます。または、「キーイング」フィルタのデフォルトのサンプリングを無効にし
てから、キーの色を手動で設定することもできます。その手順を次の例で説明し
ます。

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キーイング

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自動カラーサンプリングを無効にしてキーの色を手動で設定するには

1

「レイヤー」リストで適用済みの「キーイング」フィルタを選択してから、「フィ
ルタ」インスペクタまたは HUD を開きます。

2

「強度」スライダを 0 に設定します。

自動カラーサンプリングが無効になり、キャンバスにグリーンスクリーンの背景
が表示されます。

3

「フィルタ」インスペクタまたは HUD で、「サンプルカラー」ツールをクリッ
クして選択します。

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キーイング

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4

キャンバスで、キーにするグリーンスクリーンの色の領域を選択ボックスで囲み
ます。

グリーンスクリーンの大部分が消え、「レイヤー」リストで前景レイヤーの下に
あるレイヤーのイメージ(この例ではオレンジ色の夕焼け空)が代わって表示さ
れます。選択ボックスを必要な数だけ追加して、ほかの緑色の背景領域(グリー
ンスクリーンのハイライト部分やシャドウ部分など)をサンプリングすると、さ
らに正確にキーイングできます。

前景の被写体のエッジがくっきりしすぎている場合は、「エッジ」ツールを使っ
て前景のエッジをぼかします。煙、ガラスの反射、影など、半透明の部分を微調
整するときも「エッジ」ツールが役立ちます。

5

「フィルタ」インスペクタまたは HUD で、「エッジ」ツールをクリックして選
択します。

6

キャンバスで、前景の被写体のエッジと交差するように線を描きます。一方の端
は前景の被写体内部に置き、もう一方の端は背景(オレンジ色の空)に置きま
す。

キャンバスに「エッジ」コントロール線が表示されます。

7

キャンバスで、「エッジ」コントロール線の中央にあるハンドルをドラッグし
て、キーイングした被写体のエッジの透明度を調整します。

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キーイング

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「表示」モードを「マット」に設定すると、「エッジ」ツールの適用結果を確認
できます。(「マット」モードでは、「穴を埋める」パラメータや「エッジの距
離」パラメータの変更結果も確認できます。)

ヒント: 「カラー選択」コントロールを展開した状態で中央ハンドルをドラッグ
すると、「クロマ」コントロールの外側にある柔らかさのグラフおよび「ルミナ
ンス」コントロールの下部にある柔らかさのハンドルが「エッジ」コントロール
によってどのように変化するかを見ることができます。

色を手動でサンプリングしてキーを作成するときは、キャンバス内をドラッグす
る前に必ずしも「インスペクタ」または HUD で「サンプルカラー」ツールや
「エッジ」ツールをクリックする必要はありません。キャンバス内をドラッグ中
に、キーボードショートカットを使って「サンプルカラー」ツールや「エッジ」
ツールを選択できます。

キーボードショートカットを使ってキャンバスに「サンプルカラー」コントロー
ルと「エッジ」コントロールを追加するには

1

「レイヤー」リストで、調整する「キーイング」フィルタを選択します。

2

以下のいずれかの操作を行います:

• 「サンプルカラー」選択ボックスを作成するには、キャンバス内で Shift キー

を押したまま、キーにする色の上をドラッグします。

• 「エッジ」サンプリングコントロールを作成するには、Command キーを押し

たままキャンバス内をドラッグして、キーイングした被写体のエッジと交差す
る線を描きます。

• 「サンプルカラー」コントロールまたは「エッジ」コントロールを削除するに

は、Option キーを押したまま、削除するコントロール内をクリックします。ま
たは、サンプリングコントロールをクリックして選択し、Delete キーを押すこ
ともできます。

透明マットをさらに調整するには、「フィルタ」インスペクタの「カラー選択」
コントロールと「マットツール」を使用します。これらのコントロールを使う
と、「キーイング」フィルタを追加せずに、継ぎ目のないコンポジットを作成で
きます。

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キーイング

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「カラー選択」コントロールを使ってキーを微調整するには

1

「レイヤー」リストで「キーイング」フィルタを選択し、「フィルタ」インスペ
クタで「表示」モードを「マット」に設定します。

「マット」モードにすると、調整がイメージの透明度にどのように影響するかを
確認できます。キーイングしたイメージはグレイスケールで表示されます。白い
領域は最終的なマットで不透明になるピクセルを表し、黒い領域は透明になるピ
クセルを表します。グレイの領域は、その濃さに応じた半透明のピクセルを表し
ます(グレイが濃いほど透明に近くなり、薄いほど不透明に近くなります)。

2

「フィルタ」インスペクタの「カラー選択」行にある開閉用三角ボタンをクリッ
クして、詳細コントロールを表示します。

3

「グラフ」で、調整に必要なモードを選択します:

• スクラブボックス: 現在のキーにおおむね満足していて、生成されたマット

のエッジの柔らかさだけを調整したい場合は、「スクラブボックス」モード
(デフォルト)のままにします。「スクラブボックス」モードでは、「クロ
マ」コントロールの外側のグラフ、および「ルミナンス」コントロールの下の
ハンドルを調整して、マットのエッジの透明度を増減できます。

• 手動: マットの許容度(コア透明度)とエッジの柔らかさを大幅に変更する

場合は、「手動」をクリックします。「手動」モードでは、「クロマ」コント
ロールの内側と外側のグラフ、および「ルミナンス」コントロールの上と下の
ハンドルを調整して、マット内のあらゆる透明度を変更できます。「手動」
モードでは「強度」パラメータの変更およびキャンバスへの「サンプルカラー」
または「エッジ」コントロールの追加はできません。

「手動」モードにした後は、「スクラブボックス」モードに戻さないでくださ
い。

メモ: 「カラー選択」コントロールのキーフレームについて詳しくは、「

「キー

ヤー」フィルタのパラメータをアニメーションする

」を参照してください。

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キーイング

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4

前の手順で選択したモードに応じて、コントロールを調整してマットを変更しま
す:

• 「スクラブボックス」モードの場合は、「クロマ」コントロールの外側のグラ

フのいずれかの側をドラッグして、マットのエッジの柔らかさ(キーのエッジ
周辺の透明度)に影響するヒューとサチュレーションの範囲を調整します。

メモ: 「スクラブボックス」モードでは、「ルミナンス」コントロールの下の
2 つのハンドルをドラッグして、マットのエッジの柔らかさに影響する明るさ
と暗さの範囲を調整することもできます。

• 「手動」モードの場合は、「クロマ」コントロールの外側のグラフのいずれか

の側をドラッグして、マットのエッジの柔らかさに影響するヒューとサチュ
レーションの範囲を調整します。内側のグラフのいずれかの側をドラッグし
て、マットの許容度(コア透明度)に影響するヒューとサチュレーションの範
囲を調整します。カラーホイール内で内側のグラフを回転させて位置を変える
には、グラフの中央をドラッグします。

メモ: 「手動」モードでは、「ルミナンス」コントロールのいずれかのハンド
ルをドラッグすることもできます。「ルミナンス」の上の 2 つのハンドルで
は、マットの許容度(コア透明度)に影響する明るさと暗さの範囲を調整でき
ます。下の 2 つのハンドルでは、マットのエッジの柔らかさに影響する明るさ
と暗さの範囲を調整できます。

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キーイング

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いずれのモードでも、「クロマ」グラフまたは「ルミナンス」ハンドルを外方向
に広げると、キーイングしたイメージの透明領域が増えます。「クロマ」グラフ
または「ルミナンス」ハンドルを内方向にドラッグすると、キーイングしたイ
メージの透明領域が減ります。次の例の上のイメージでは、「クロマ」コント
ロールの外側のグラフを使ってエッジの柔らかさを上げた結果、マットにところ
どころ穴が空いています。下のイメージでは、エッジの柔らかさを下げて、これ
らの穴を埋めています。

Widening softness

Narrowing softness

5

「ルミナンス」コントロールを調整していない場合は、下の左または右のハンド
ルをドラッグして、イメージのルミナンス成分の柔らかさを調整します。

ヒント: 「手動」モードでは、上下のハンドルを結ぶバーをドラッグして下のハ
ンドルを調整できます。すべてのハンドルを同時に調整するには、グラフのカー
ブ内をドラッグします。

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キーイング

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6

「クロマロールオフ」スライダと「ルミナンスロールオフ」スライダをドラッグ
して、キーの許容度と柔らかさ間の減衰を細かく調整します。

「マットツール」を使ってキーを微調整するには

1

「レイヤー」リストで「キーイング」フィルタを選択し、「フィルタ」インスペ
クタで「表示」モードを「マット」に設定します。

「マット」モードにすると、調整がイメージの透明度にどのように影響するかを
確認できます。キーイングしたイメージはグレイスケールで表示されます。白い
領域は最終的なマットで不透明になるピクセルを表し、黒い領域は透明になるピ
クセルを表します。グレイの領域は、その濃さに応じた半透明のピクセルを表し
ます(グレイが濃いほど透明に近くなり、薄いほど不透明に近くなります)。

2

「フィルタ」インスペクタの「マットツール」行にある開閉用三角ボタンをク
リックします。

行が展開されて、マットのコントラストを調整する「レベル」コントロールが表
示されます。「縮小/拡大」スライダ、「和らげる」スライダ、および「縮小」
スライダも表示されます。

3

「レベル」コントロールを使って、マットの透明度とコントラストを調整しま
す。

「レベル」コントロールの一般的な使いかたとしては、マットの透明度を下げる
ときは中央の「バイアス」ハンドルを左にドラッグし、上げるときは右にドラッ
グします。マットのシャドウ部分とハイライト部分のコントラストを調整すると
きは、左の「黒」のスライダと右の「白」のスライダを使用します。

「表示」を「マット」に設定すると、「レベル」調整の適用結果がよく分かりま
す。この表示では、マットの白い領域が不透明の部分、黒い領域が透明の部分を
表します。グレイの領域は半透明で、グレイが濃いほど透明に近くなります。こ
れを踏まえて、以下のガイドラインを参考に操作を行ってください:

• 黒のバイアスハンドルを右にドラッグすると、グレイ領域が黒くなり、マット

の透明領域が増えます。

• 中央のバイアスハンドルを左にドラッグすると、マットのグレイ領域がより白

に近付き、半透明領域が不透明になることでキーの不透明領域が増えます。

• 中央のバイアスハンドルを右にドラッグすると、マットのグレイ領域がより黒

に近付き、半透明領域が透明になることでキーの透明領域が増えます。

• 白のバイアスハンドルを左にドラッグすると、グレイ領域が白くなり、マット

の不透明領域が増えます。

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キーイング

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4

マットを内側に縮めて、マットの穴を広げるには、「縮小/拡大」スライダを左
にドラッグします。マットを外側に広げて、マットの穴を埋めるには、「縮小/
拡大」スライダを右にドラッグします。

Original matte

Reducing Shrink/Expand

Increasing Shrink/Expand

5

マットを全体的にぼかしてエッジを柔らかくするには、「和らげる」スライダを
右にドラッグします。

Original matte

Softened matte

6

マットの元のアウトラインを半透明の外側の境界として維持しながら、エッジを
内側に向かって柔らかくするには、「縮小」スライダを右にドラッグします。

Original matte

Eroded matte

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キーイング