レイヤーのブレンドモード
以下のセクションでは、ブレンドモードを個々のレイヤーに適用する方法につい
て説明します。すべてのブレンドモードは、ブレンドモードのポップアップメ
ニューに表示される順序で表示されます。
337
第 7 章
基本的な合成
この章の例について
このセクションの例のほとんどは、以下の 2 つの基準となるイメージを使って
作成されています。処理後の「モンドリアンの猿」は、各ブレンドモードを使
用した場合に各イメージのカラーの値の相互作用がどのように異なるかを示し
ます。結果を確認する際、カラーボックスの中の白と黒の領域に注意してくだ
さい。また、猿の明るい部分と影の部分に注目してください。これらの部分か
ら、各ブレンドモードがイメージの白と黒をどのように処理するかを確認でき
ます。
ほかのと暗いカラーは、各ブレンドモードが中間色の値をどのように処理する
かを示します。特に、黄、グレイ、オレンジ、および青のボックスは、それぞ
れの例で大きな違いがでるため、色と輝度が大きく異なってきます。
Boxes object
Monkey object
重要:
ブレンドモードによって、レイヤーとグループの順序の重要性が異なり
ます。どのイメージが前面にあるかで処理が異なるブレンドモードがありま
す。
通常
レイヤーに対するデフォルトです。「通常」に設定されたレイヤーの透明度は、
レイヤーの「不透明度」パラメータ、またはレイヤーに割り当てられたアルファ
チャンネルによってのみ影響を受けます。
減算
「減算」は、すべての重なり合ったカラーを暗くします。前面のイメージの白い
部分が黒くなり、背面のイメージの白い部分は前面のイメージの重なったカラー
の値を反転させます。これによりネガのエフェクトが生じます。
前面のイメージの黒い部分は透明になり、背面のイメージの黒い部分はそのまま
維持されます。
重なり合った中間色の値は、背面のイメージのカラーを基に暗くなります。背面
が前面よりも明るい領域は、背面のイメージが暗くなります。背面が前面よりも
暗い領域は、カラーが反転されます。
338
第 7 章
基本的な合成
「減算」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序が重要です。
Boxes object on top
Monkey object on top
減光
「減光」は、重なり合った各イメージの最も暗い部分を強調します。いずれのイ
メージの白い部分も、重なり合うイメージを完全に透過します。明るい中間色の
値は、重なっているイメージが表示されるように半透明の透明度が増します。し
きい値を下回る暗い中間色の値は不透明のままとなり、より細部が見えるように
なります。
「減光」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序は重要ではあ
りません。
推奨の使用方法:「減光」ブレンドモードは、あるイメージの暗い部分を基に、
ほかのイメージを選択的にテクスチャ化するのに有効です。また、このエフェク
トに変化をつけるために「スクリーン」、「カラーバーン」、および「リニア
バーン」を使うこともできます。
339
第 7 章
基本的な合成
乗算
「減光」と同様に「乗算」も、重なり合った各イメージの最も暗い部分を強調し
ます。ただし、両方のイメージの中間色の値はより均等に混合されます。重なり
合ったイメージの明るい領域ほど、半透明の透明度が高くなり、ほかのイメージ
が暗いかどうかに関係なく透過的に表示します。いずれのイメージの白い部分
も、重なり合うイメージを完全に透過します。両方のイメージの黒い部分は、処
理後のイメージでもそのまま残されます。
「乗算」ブレンドモードでは、影響を受けるレイヤーの順序は重要ではありませ
ん。
推奨の使用方法:「乗算」ブレンドモードは、前面の白い領域を排除し、残りの
部分を背面のカラーとブレンドする場合に便利です。たとえば「乗算」ブレンド
モードを使い、スキャンした手書きのテキストシートを背面のイメージに重ねる
と、処理後のイメージでは前面の暗い部分がテクスチャ化されます。
カラーバーン
「カラーバーン」は、各イメージの暗い部分を強調します。背面のイメージの白
い部分は前面と置き換わり、前面のイメージの白い部分は透明になります。背面
のイメージが中間色の値の場合、前面のイメージの中間色の値が透過的に表示さ
れるようになります。
背面のイメージが明るい中間色の値であれは、前面のイメージがより透過的に表
示されるようになります。重なり合った可視の領域での暗い中間色の値は混合さ
れ、カラーエフェクトが強調されます。
340
第 7 章
基本的な合成
「カラーバーン」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序が重
要です。
Boxes object on top
Monkey object on top
リニアバーン
「乗算」と似ていますが、「カラーバーン」のように重なり合った暗い中間色の
値が強調される点が異なります。重なり合ったイメージの明るいカラーの値ほ
ど、半透明の透明度が高くなり、暗いカラーを透過的に表示します。いずれのイ
メージの白い部分も、重なり合うイメージを完全に透過します。
「リニアバーン」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序は重
要ではありません。
加算
「加算」は、重なり合った各イメージの白い部分を強調し、重なり合ったほかの
カラーを明るくします。重なり合ったすべてのピクセルのカラーの値が合計され
ます。結果として、重なり合ったすべての中間色の値が明るくなります。いずれ
のイメージの黒い部分も透明になり、いずれのイメージも白い部分はそのまま維
持されます。
341
第 7 章
基本的な合成
「加算」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序は重要ではあ
りません。
推奨の使用方法:「加算」ブレンドモードは、あるイメージのハイライトされた
部分などの明るい領域で、ほかのイメージの表面を選択的にテクスチャ化するの
に有効です。また、このエフェクトに変化をつけるために「増光」、「スクリー
ン」、「カラードッジ」、および「リニアドッジ」を使うこともできます。
増光
「増光」は、重なり合った各イメージの最も明るい部分を強調します。各イメー
ジのすべてのピクセルが比較され、いずれのイメージも最も明るいピクセルが残
されます。これにより、最終的なイメージは、各イメージの最も明るいピクセル
のディザ結合によって構成されます。両方のイメージの白い部分は、処理後のイ
メージでも透過的に表示されます。
342
第 7 章
基本的な合成
「増光」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序は重要ではあ
りません。
スクリーン
「増光」と同様に「スクリーン」も、重なり合った各イメージの最も明るい部分
を強調します。ただし、両方のイメージの中間色の値はより均等に混合されま
す。
いずれのイメージの黒い部分も、重なり合うイメージを完全に透過します。暗い
中間色の値が特定のしきい値を下回る場合は、重なった他方のイメージがより表
示されるようになります。両方のイメージの白い部分は、処理後のイメージでも
透過的に表示されます。
「スクリーン」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序は重要
ではありません。
343
第 7 章
基本的な合成
推奨の使用方法:「スクリーン」ブレンドモードは、「Luma キー」の代わりに、
前面の被写体の背後にある黒い部分を排除するのに役立ちます。また、前面の被
写体の残り部分を明度を基にして背面のイメージと混合するのに役立ちます。グ
ローやライティングのエフェクト、および反射のシミュレートに適しています。
また、このエフェクトに変化をつけるために「加算」、「増光」、および「カ
ラードッジ」を使うこともできます。
Top object
Bottom object
Screen composite
カラードッジ
前面または背面のイメージの白い部分は、処理後のイメージにそのまま残されま
す。背面のイメージの黒い部分は前面と置き換わり、前面のイメージの黒い部分
は透明になります。
背面のイメージが中間色の値の場合、前面のイメージの中間色の値が透過的に表
示されるようになります。背面のイメージが暗い値であれば、前面のイメージが
より透過的に表示されるようになります。すべての重なり合った部分の中間色の
値は混合され、処理後はカラーの混合が強調されます。
2 つの重なり合ったイメージの前後を入れ替えると、重なり合った中間色の値の
混合に微妙な違いが生じます。
Boxes object on top
Monkey object on top
リニアドッジ
「スクリーン」と似ていますが、重なり合った領域の明るい中間色の値が強調さ
れる点が異なります。いずれのイメージの黒い部分も、重なり合うイメージを完
全に透過します。両方のイメージの白い部分は、処理後のイメージでも透過的に
表示されます。
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第 7 章
基本的な合成
「リニアドッジ」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序は重
要ではありません。
オーバーレイ
前面のイメージの白と黒の部分が半透明になり、背面のイメージのカラーの値と
作用してコントラストが強調されます。背面のイメージの白と黒の部分は前面の
イメージを置き換えます。
重なり合った中間色の値は、背面のカラーの値の明度に基づいて混合されます。
背面の明るい中間色の値は、スクリーンによって混合されます。背面の暗い中間
色の値は、乗算によって混合されます。
処理後の表示では、背面のイメージの暗いカラーの値は前面のイメージを強調
し、背面のイメージの明るいカラーの値は前面のイメージの重なり合った部分を
不鮮明にします。
「オーバーレイ」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序が重
要です。
Boxes object on top
Monkey object on top
345
第 7 章
基本的な合成
推奨の使用方法:「オーバーレイ」ブレンドモードは、2 つのイメージの中にあ
る鮮明なカラーの領域を結合するのに有効です。
ソフトライト
「ソフトライト」は、「オーバーレイ」ブレンドモードと似ています。前面のイ
メージの白と黒の部分が半透明になり、背面のイメージのカラーの値と作用しま
す。背面のイメージの白と黒の部分は前面のイメージを置き換えます。重なり
合った中間色の値は混合され、「オーバーレイ」ブレンドモードよりもより均一
な色合いが出ます。
「ソフトライト」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序が重
要です。
Boxes object on top
Monkey object on top
推奨の使用方法:「ソフトライト」ブレンドモードは、特に背面のイメージを前
面のイメージのカラーと混合することで柔らかい色合いを出すのに有効です。
ハードライト
前面のイメージの白と黒の部分は背面のイメージをブロックします。背面のイ
メージの白と黒の部分は、前面のイメージの重なり合う部分に含まれる中間色の
値に相互に作用します。
346
第 7 章
基本的な合成
重なり合った中間色の値は、背面のカラーの値の明度に基づいて混合されます。
背面の明るい中間色の値は、スクリーンによって混合されます。背面の暗い中間
色の値は、乗算によって混合されます。
処理後の表示では、背面のイメージの暗いカラーの値は前面のイメージを強調
し、背面のイメージの明るいカラーの値は前面のイメージの重なり合った部分を
不鮮明にします。
「ハードライト」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序が重
要です。
Boxes object on top
Monkey object on top
ビビッドライト
「ビビッドライト」は、2 つの点を除いて「ハードライト」ブレンドモードと似
ています。その 1 つは、中間色の値がより強調されて混合されることです。もう
1 つは、重なり合ったイメージのいずれかにある白と黒の部分が、処理後もその
まま残されることです。
メモ: ディザリングでは、単色の白と単色の黒の領域が重なり合うことがありま
す。
重なり合った中間色の値は、背面のカラーの値の明度に基づいて混合されます。
明るい中間色の値は不鮮明になり、暗い中間色の値はコントラストが高くなりま
す。全体的なエフェクトは「ハードライト」ブレンドモードよりも明瞭になりま
す。
347
第 7 章
基本的な合成
2 つの重なり合ったイメージの前後を入れ替えると、重なり合った中間色の値の
混合に微妙な違いが生じます。
Boxes object on top
Monkey object on top
リニアライト
「リニアライト」は、重なり合った中間色の値が高いコントラストで混合される
点を除いて「ハードライト」ブレンドモードと似ています。前面のイメージの白
と黒の部分は背面のイメージをブロックします。背面のイメージの白と黒の部分
は、前面のイメージの重なり合う部分に含まれる中間色の値に相互に作用しま
す。
重なり合った中間色の値が混合されます。明るい背面のカラーは前面のイメージ
を明るくし、暗いカラーは暗くします。
「リニアライト」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序が重
要です。
Boxes object on top
Monkey object on top
ピンライト
「ピンライト」は、「ハードライト」ブレンドモードと似ています。ただし、重
なり合った中間色の値が、それらのカラーの値を基に異なる方法で混合される点
が異なります。前面のイメージの白と黒の部分は背面のイメージをブロックしま
す。背面のイメージの白と黒の部分は、前面のイメージの重なり合う部分に含ま
れる中間色の値に相互に作用します。
348
第 7 章
基本的な合成
「ピンライト」ブレンドモードで使用される 2 つのイメージの混合方法は多少複
雑です。重なり合った中間色の値は、ルミナンスチャートの 4 つの領域のどこに
位置するかで処理のされ方が異なります。
• 前面のイメージで、白または黒に近い明るい領域と暗い領域は、そのまま残さ
れます。
• 前面のイメージで、中間色の中央に近い領域は、背面のカラーによって着色さ
れます。
• 前面のイメージで、黒と中間色の中央との間の暗い領域は明るくされます。
• 前面のイメージで、白と中間色の中央との間の明るい領域は暗くなります。
処理後のイメージは、重なり合った部分の値の明るさまたは暗さによって、着色
した部分とソラリゼーションした部分が交互に現れます。このブレンドモード
は、抽象的なエフェクトを生み出します。
「ピンライト」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序が重要
です。
Boxes object on top
Monkey object on top
ハードミックス
「ハードミックス」は「ハードライト」ブレンドモードと似ています。ただし、
重なり合った中間色の値のサチュレーションが強調され、極端に高いコントラス
トのイメージになる点が異なります。白い部分と黒い部分はそのまま残されま
す。
349
第 7 章
基本的な合成
2 つのレイヤーの順序は、「ハードミックス」ブレンドモードでブレンドされた
2 つのイメージの外観に影響しませんが、多少の違いをもたらすことがありま
す。
差分
「減算」ブレンドモードと似ていますが、「減算」ブレンドモードで著しく暗く
なるイメージの領域が、違うカラーに着色される点が異なります。
「差分」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序は重要ではあ
りません。
排他
処理後のイメージが全体的に明るくなる点を除き、「差分」ブレンドモードと似
ています。重なり合った領域の明るいカラーの値が明るくされ、重なり合った領
域の暗いカラーの値が透明になります。
350
第 7 章
基本的な合成
「排他」ブレンドモードでは、影響を受ける 2 つのレイヤーの順序は重要ではあ
りません。