「ポイントをトラック」のコントロール
「ポイントをトラック」ビヘイビアを使用すると、シェイプまたはマスク(ペイ
ントストロークを含む)のコントロールポイントを、ソースクリップ上の参照特
性にリンクさせることができます。さらに、「動きを解析」トラッキングビヘイ
ビア、「マッチムーブ」トラッキングビヘイビア、または「スタビライズ」ト
ラッキングビヘイビアによって記録されたトラッキングデータを、シェイプまた
はマスクのコントロールポイントに適用することもできます。
「ポイントをトラック」ビヘイビアは、「ライブラリ」で「ビヘイビア」の「シェ
イプ」サブカテゴリにあります。またはツールバーの「ビヘイビアを追加」ポッ
プアップメニューから「シェイプ」>「ポイントをトラック」と選択します。
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第 22 章
モーショントラッキング
「ポイントをトラック」ビヘイビアの使いかたについては、「
「ポイントをト
ラック」のワークフロー
」を参照してください。
「インスペクタ」のパラメータ
ソース:
トラックポイントのソースオブジェクトをこのウェルにドラッグする
ときに使用します。ソースオブジェクトは、別のトラッキングビヘイビアでも、
アニメーションオブジェクトでも、フッテージオブジェクトでもかまいません。
「ソース」ウェルを消去するには、項目をウェルの外までドラッグして、マウス
ボタンを放します。
• 「アクション」ポップアップメニュー: プロジェクト内のトラッキングデー
タ(ほかのトラッキングビヘイビアから取得したもの)のリストから選択しま
す。
変形:
このポップアップメニューを使用して、適用先オブジェクトの動きかた
を選択します。2 つのオプションがあります:
• ソースに吸着: このオプションを選択すると、前景オブジェクトが、記録さ
れたトラックまたはアニメーションソースに固定されます。「ソースに吸着」
は、ソースオブジェクトを調整または回転するとき、適用先オブジェクトを
ソースオブジェクトの特定の位置に「貼り付ける」場合に使用します。トラッ
クの適用前に適用先オブジェクトに存在したすべてのアニメーションは、「調
整」のパラメータ(「位置」、「調整」、および「回転」)を使用することで
保持できます。これらのパラメータは、「タイプ」ポップアップメニューで
「変形」を選択した場合に使用できます。
メモ: 適用先オブジェクトがソースオブジェクトの動きに吸着されていても、
適用先オブジェクトをソースオブジェクトからオフセットすることができま
す。
• ソースに合わせる: このオプションを選択すると、適用先オブジェクトが、
記録されたトラックまたはアニメーションソースを「模倣する」ようになりま
す。トラックの適用前に前景オブジェクトに存在していたアニメーションは、
「調整」パラメータで「位置」、「回転」、または「調整」を選択することで
トラックに追加できます。
メモ: 「ソースに吸着」と同様、適用先オブジェクトをソースオブジェクトか
らオフセットすることができます。
接線を揃える:
このチェックボックスの選択が解除されている場合、接線は元
のアングルで揃えられた状態を維持します。このチェックボックスを選択する
と、接線がソースアニメーションの変形と一致し、シェイプがその形状に変わり
ます。
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第 22 章
モーショントラッキング
動き:
「動き」パラメータには、「解析」コントロールと「逆方向」コントロー
ルがあります。このパラメータは、ソースウェルにトラッキングソース(フッ
テージ)がある場合にのみ表示されます。
• 解析: モーショントラッキング解析を開始するには、「解析」ボタンをクリッ
クします。進行状況ウインドウが開き、トラッキングの進捗が表示されます。
解析を停止するには、進行状況ウインドウの「停止」ボタンをクリックする
か、Esc キーを押します。
トラックの先頭は、「タイムライン」におけるビヘイビアの先頭ではなく、現
在の再生ヘッド位置に基づきます。
• 逆方向: 「逆方向」チェックボックスを選択すると、クリップが現在の再生
ヘッド位置からクリップの先頭フレーム(またはトラッキングビヘイビアの先
頭フレーム)まで解析されます。
メモ: 逆方向解析を開始したいフレームまで再生ヘッドを移動する必要があり
ます。
トラックのプレビュー:
このプレビュー領域は、ソースウェルにトラッキング
ソース(フッテージ)がある場合にのみ表示されます。このプレビューを使用す
ると、選択されたトラックのトラッキング参照領域を拡大表示できます。このプ
レビューは、キャンバスでトラックの位置を調整するとアップデートされます。
「トラックのプレビュー」領域の任意の場所をドラッグしても、トラックの位置
を調整することができます。プレビュー領域内をドラッグすると、それに合わせ
て、プレビュー内ではイメージが赤い十字形の周りを移動し、キャンバス内では
トラックが移動します。
トラックをオフセット:
このパラメータは、ソースウェルにトラッキングソー
ス(フッテージ)がある場合にのみ表示されます。トラックの参照ポイントが一
時的に非表示になっている、または画面上から消えている場合、このパラメータ
を使用すると、元の参照ポイントと同じトラッキングパスを辿る別の参照ポイン
トを選択することができます。オフセット・トラッキングについて詳しくは、
「
オフセット・トラッキングを使って隠れたポイントまたはフレーム外のポイン
トをトラッキングする
」を参照してください。
自動ズーム:
このパラメータは、ソースウェルにトラッキングソース(フッテー
ジ)がある場合にのみ表示されます。キャンバスでのトラック位置を決定する
際、このポップアップメニューからオプションを選択して、拡大レベルを設定し
ます。これにより、理想的なトラッキング参照パターンを検索するときにキャン
バスを拡大することができます。「なし」、「2x」、「4x」、および「8x」の 4
つのオプションがあります。
自動ズームモード:
このパラメータは、ソースウェルにトラッキングソース
(フッテージ)がある場合にのみ表示されます。自動ズームされたトラックの
キャンバス内での表示を設定するには、このポップアップメニューからオプショ
ンを選択します。以下の 3 つのオプションがあります:
• 通常: 通常のパターンが表示されます。
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第 22 章
モーショントラッキング
• コントラスト: コントラスト検出によるトラックパターンが表示されます。
• 端: エッジ検出によるトラックパターンが表示されます。「自動ズームモー
ド」は、キャンバス内のトラックに適用されます。また、「ビヘイビア」イン
スペクタの「トラックのプレビュー」には表示されません。「自動ズーム」
ポップアップメニューから「なし」を選択した場合、「自動ズームモード」設
定による効果はありません。
先のフレームを見る:
このパラメータは、ソースウェルにトラッキングソース
(フッテージ)がある場合にのみ表示されます。このスライダおよび値スライダ
では、トラックによる解析の対象となる先のフレーム数を指定することができま
す。つまり、参照ポイントの特定の位置を見るようにトラックに指示することが
できます。この機能は、速い速度で動くオブジェクトを含むフッテージに便利で
す。そのようなフッテージでは、参照ポイントがトラックから急速に離れる可能
性があるからです。「先のフレームを見る」の使いかたについて詳しくは、「
先
読みにより「Motion」にヒントを与える
」を参照してください。
「トラック」リスト:
トラックは、ソースウェルにトラッキングソース(フッ
テージ)がある場合にのみ表示されます。「トラック」リストには、ビヘイビア
のトラックが「トラック 1」、「トラック 2」などと表示されます。トラックの
数は、「ポイントをトラック」ビヘイビアが適用されたシェイプのコントロール
ポイントの数によって決まります。たとえば「ポイントをトラック」ビヘイビア
が 12 個のコントロールポイントを持つシェイプに追加されると、12 個のトラッ
クがトラックリストに表示されます。
別のトラックが参照されると、トラックリストは「コントロールポイント」ポッ
プアップメニューに置き換わります。
トラックを無効にするには、チェックボックスの選択を解除します。トラックを
取り除くには、「取り除く」ボタンをクリックします。無効になったトラック
は、トラッキングでは解析されません。
トラック名の隣にある開閉用三角ボタンをクリックすると、以下の追加パラメー
タが表示されます:
• 位置: このパラメータには、トラックの X 位置と Y 位置が表示されます。X
位置は左の値スライダで、Y 位置は右の値スライダで確認します。開閉用三角
ボタンをクリックすると、ラベルの付いた位置値スライダが表示されます。
• トラックサイズ: このスライダを使用して、トラックのパターンの検索サイ
ズを(ピクセル単位で)調整します。トラックサイズを調整すると、「トラッ
クのプレビュー」がアップデートされて、新しいトラックサイズが表示されま
す。キャンバスのトラックでは視覚的な変化はありません。
パラメータを表示せずに「トラックサイズ」を調整するには、「トラックのプ
レビュー」領域で Option キーを押したまま左へドラッグしてトラックサイズ
を小さくするか、Option キーを押したまま右へドラッグしてトラックサイズを
大きくします。
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第 22 章
モーショントラッキング
• 検索サイズ: このスライダまたは値スライダを使用して、トラックの検索領
域のサイズを増減します。「Motion」では、キャンバスでトラックを設定する
際に検索領域のサイズを指定しません。デフォルトの検索サイズを変更するに
は、このスライダまたは値スライダを使用します。「検索サイズ」を 200 パー
セントに設定すると、トラックの検索領域がデフォルトの検索領域のサイズの
2 倍になります。
• 失敗の許容度: このパラメータを使用して、トラックのエラーの許容量(信
頼度値)を定義します。つまり、トラックが参照特性に一致可能であると判断
する際のスコアを定義します。スコアを上回った場合、トラックは一致を受け
入れます。スコアを下回った場合、トラックは一致を拒否します。一致が拒否
されると、「失敗時の動作」が有効になります。
• 失敗時の動作: このポップアップメニューを使用して、トラックの信頼度値
が「失敗の許容度」の値を下回った場合の動作を指定します。以下のオプショ
ンがあります。
• 自動再試行: トラックがより広範な検索領域で参照パターンを検索します。
パターンが見つからなかった場合は「予測」オプションに切り替えられま
す。「自動再試行」は、失敗時のデフォルトの動作です。
• 停止: トラックが参照パターンを見失った場合に解析を停止します。トラッ
キング進行状況ダイアログの「停止」ボタンをクリックするか、Esc キーを
押して解析を停止することもできます。
• 予測: トラックが参照パターンの一致を見つけるまで、新しい検索領域を
予測します。キーフレームは作成されません。これは、前景オブジェクトの
後ろを横切るトラッキング対象オブジェクトに最適です。
• 予測とキー: 失敗が検出された場合、トラックが最後の 2 つのキーフレー
ムのベクトルに基づいて位置を予測し、新しい領域でトラッキングを続行し
ます。
• 予測しない: トラックがそのままの位置で、クリップのフレームの進行に
合わせて後続の一致を検索します。一致の検索中にキーフレームが作成され
ることはありません。
• 既存キーフレームを使用: トラック位置キーフレームを手動で作成した場
合にこのオプションを使用してトラックのガイドにします。キーフレームを
手動で追加したら、開始フレームに戻り、トラッキング解析を開始します。
トラックがトラックパターンを特定することが困難な場合、手動で作成した
トラッキングキーフレームがトラックのガイドにするために参照されます。
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第 22 章
モーショントラッキング
• カラー: 画面上のトラックに新しい色を設定するには、このオプションをク
リックするか、Control キーを押したままカラーウェルをクリックします。ま
たは、スポイトをクリックし、キャンバスで色を選択します。トラックのデ
フォルトの色は赤色です。トラックを選択すると、中心点が黄色になり、拡大
画面の枠線がカラーウェルで設定した色になります。個々のカラーチャンネル
(トラックの不透明度を含む)を調整するには、開閉用三角ボタンをクリック
します。
コントロールポイント:
「ポイントをトラック」ビヘイビアで別のビヘイビア
(「動きを解析」など)を参照すると、「トラック」リストパラメータは「コン
トロールポイント」ポップアップメニューで置き換えられます。シェイプのコン
トロールポイントごとにポップアップメニューがあります。ポップアップメニュー
から、そのコントロールポイントに割り当てるトラックを選択します。
メモ: 参照トラックの適用後にシェイプのコントロールポイントを追加または削
除するには、「インスペクタ」または「レイヤー」リストで「ポイントをトラッ
ク」ビヘイビアを選択して、「コントロールポイント」ポップアップ・メニュー・
リストを更新してください。
ヒント: シェイプ上のコントロールポイントの数を確認するには、「レイヤー」
リストでシェイプを選択し、ツールバーから「ポイントを編集」ツールを選択し
てから、キャンバス内のコントロールポイントをクリックします。
HUD コントロール
「ポイントをトラック」の HUD には、アニメーションオブジェクトやトラッキ
ングビヘイビアをビヘイビアに読み込んだり(「ソース」ウェルまたはトラッキ
ングビヘイビアのポップアップメニューを使用)、適用先オブジェクトの動きか
たを指定したり、モーション解析を開始したり(「解析」ボタンを使用)、ト
ラックの方向を反対にしたり(「逆方向」チェックボックスを使用)、トラック
をオフセットしたり(「トラックをオフセット」チェックボックスを使用)する
ための各コントロールが含まれています。